iPS細胞による角膜再生医療の進歩に関する総説論文が
Japanese Journal of Ophthalmologyに掲載
「ひとの可能性を再生する。」をミッションとして、iPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自技術で世界の角膜移植待機患者問題の解決をめざす株式会社セルージョン(本社:東京、以下、セルージョン)の代表取締役社長羽藤晋と、共同研究を実施する慶應義塾大学医学部眼科学教室の榛村重人特任教授は、iPS細胞による角膜再生医療の発展に関する総説論文を公益財団法人日本眼科学会が発刊する「Japanese Journal of Ophthalmology」に発表しました。
角膜は再生医療のパイオニア的領域であり、特に日本の研究者はこの分野で世界をリードしてきました。日本では、角膜上皮幹細胞欠損症に対する3種類の上皮シート再生医療製剤が承認されています。また、培養角膜内皮細胞懸濁液移植、iPS細胞由来角膜上皮シート移植などの角膜再生医療の臨床研究は、いずれも日本人研究者により世界で初めて実施・報告されています。当社と慶應義塾大学医学部眼科学教室の共同研究グループでも、iPS細胞由来角膜内皮代替細胞(CLS001)を開発しており、この細胞を用いて水疱性角膜症を治療する世界初の臨床研究を行っています。本総説では、角膜上皮・内皮再生医療の進歩と課題、iPS細胞を用いた角膜再生医療の将来性について述べています。
本研究成果の掲載情報は下記の通りです。
Hatou S, Shimmura S. Advances in corneal regenerative medicine with iPS cells. Jpn J Ophthalmol. 2023 Aug 14. doi: 10.1007/s10384-023-01015-5.
Advances in corneal regenerative medicine with iPS cells | SpringerLink
[CLS001(よみ:しーえるえすぜろぜろいち)について]
CLS001は、さまざまな種類の細胞に分化することが可能なiPS細胞をセルージョンが持つ独自の技術により効率的に分化させて作り出した角膜内皮細胞の代替となる細胞です。セルージョンは「iPS細胞が有する優れた増殖性」と「簡便な手技で属人的技術を不要とする細胞移植法」を組み合わせ、角膜移植適用症例の半数以上を占める水疱性角膜症に対する治療用再生医療等製品として、CLS001の開発を進めています。また、セルージョンは日本での企業治験とグローバル地域での治験準備を進めています。
[水疱性角膜症(よみ:すいほうせいかくまくしょう)について]
水疱性角膜症は、白内障などの目の手術や遺伝性の要因により角膜の一番内側で角膜内の水分を適切な量に調節している角膜内皮細胞が減り、その機能に不具合がおきることで、角膜が水膨れし、混濁により視力障害を起こす希少疾病です。この病気は進行性で、治療せずに放っておくと失明にいたります。現在は正常な機能を持つ角膜内皮細胞を角膜移植で補う治療でしかこの病気を治療することはできません。しかしながら、他の臓器移植同様、角膜移植も深刻なドナー不足問題に直面しています。日本の患者数は約1万人と推定されており、また2013年に行われた世界的な調査では、世界中に1300万人ほどの角膜移植待機患者がいると報告されています。
[セルージョンについて]
セルージョンは「ひとの可能性を再生する。」、「もっと自由で、もっと笑顔が見える世界へ。」をミッション・ビジョンに掲げる慶應義塾大学医学部眼科学教室発の再生医療ベンチャーです。iPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自技術などの特許技術を基に、世界の角膜移植課題をめざすリードプログラムCLS001をはじめ、最先端の再生医療技術でペイシェント・セントリシティの考え方に立った医療ニーズの提供をめざした研究開発を推進しています。
商号 :株式会社セルージョン
代表者 :代表取締役社長 羽藤 晋
所在地 :東京都中央区日本橋小舟町8番6号
設立 : 2015年1月
URL : https://cellusion.jp/
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