CORNEAL TRANSPLANTATION
角膜移植の歴史
日本と海外の動向について
- 1789年ガラスを使って角膜移植を試みる(フランス:ペリエ・ド・ケンシー氏)
- 1924年人の死体からの角膜で移植成功(ソ連:オデッサ大学フィラトウ教授)
- 1945年世界初のアイバンクが設立(アメリカ・ニューヨーク)
- 1949年日本で第一例目の角膜移植を実施(岩手医大眼科 今泉亀撤教授)
- 1956年今泉氏が岩手医大内に独自のアイバンク「目の銀行」設立
- 1958年4月17日「角膜移植に関する法律」公布(同年7月16日施行)
- 1963年6月28日厚生省が「眼球提供あっせん業の許可について」定める
- 1963年10月日本初のあっせん許可を持つアイバンク設立(慶大眼科銀行、順天堂アイバンク、以降各地にアイバンク設立)
- 1979年12月18日「角膜及び腎臓の移植に関する法律」公布(翌年3月18日施行)
- 1997年7月16日「臓器の移植に関する法律」公布(同年10月16日施行)
- 2010年7月17日「臓器の移植に関する法律」施行(現在はこの法律で54アイバンクが業務を遂行している)
角膜は眼球の最前部にある透明な組織です(いわゆる“黒目”)。角膜の病気としては円錐角膜・水疱性角膜症・細菌またはウイルス感染症・角膜白斑・角膜変性症・ジストロフィ・外傷など様々ですが、このような病気や外傷で白く濁ってしまった角膜を透明な角膜と取り替える手術を角膜移植といいます。
角膜が透明であれば、近視・遠視・乱視・老眼・そこひ・年齢に関係なく献眼ができます。ただし、感染の恐れのある病気(例えば、新型コロナウィルスなど)での死亡の場合は献眼出来ない場合があります。※1 角膜疾患のための視覚障害者は19,000人、その角膜移植を待つ患者さまは全国に現在約2,200人います。※2
「角膜移植とアイバンクに関する世界調査」のデータを見ると、134カ国で約1,270万人が移植を待っており、一方、116カ国で実施された角膜移植は185,000件にとどまっています。※3
角膜移植の適応疾患の約半数以上は角膜内皮細胞の機能不全である水疱性角膜症という病気です。水疱性角膜症の発症の要因は、遺伝性疾患と合併症の大きく2つあります。一つ目の遺伝性疾患の代表は角膜ジストロフィの一種であるフックス角膜内皮変性症という病気で、50~60歳頃から発症します。二つ目の合併症については、白内障や緑内障などの手術のダメージで内皮細胞が大きく傷んでしまった場合に水疱性角膜症になることがあります。
欧米で多いのは遺伝性疾患で、日本やアジアでは白内障手術の合併症などで発症する場合が多く、国によって発症要因は少し異なります。アイバンクの眼球に依存しない角膜内皮の再生治療は、角膜移植における大きな需給のミスマッチを解消し、世界の角膜失明者数を減少させるのに役立ちます。
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※1
“角膜移植、コロナ禍で減少…専門家「治療遅れると失明リスク高まる」”
臓器移植法に基づく角膜移植の件数が、新型コロナウイルス流行後、2年連続で年1,000件を下回っている。昨年度は過去最低の814件で流行前の3~5割減だった。
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※2
日本角膜移植学会
2014年度の眼球提供登録者は10,883人、献眼者数は927人、移植件数は1,476人、2014年3月末の待機患者数は2,200人となっており、角膜疾患のための視覚障害者は19,000人にいます。
- ※3 Global Survey of Corneal Transplantation and Eye Banking